伝統と心意気のたいまつ作り 24日にがんがら火祭り
池田の夏の夜空を焦がす勇壮な「がんがら火祭り」が、今年も8月24日に行われる。
その見どころは、五月山に浮かび上がる「大文字」と「大一文字」の送り火とともに、市内を練り歩く高さ3.8メートル、重さ100キロを超える大きなたいまつだ。火の粉舞い散る勇壮な練り歩きで、その大たいまつは池田五月山大一文字がんがら火保存会のメンバーが7月上旬から手作りしていく。
7月下旬、栄本町にある作業所を訪れると、たいまつ作りは大詰めの「縄の本ぐくり」の作業に入っていた。仮結びしていた縄を外し、ワイヤーで締め付けながらきれいに結んでいく作業だ。「力任せにやると、芯になっている竹が割れて1からやり直しになる。片方に力がいけば、たいまつが曲がる。絶妙な加減は経験を重ねないと難しい」と、保存会広報部長の柏床宣宏さんは話す。緩い部分には割り木を槌(つち)で打ち込み修正するが、それも勘が頼りだ。50年の経験を持つ中村茂さんは「音が聞こえたら気になってね」と、今年も作業所に立ち寄っては、その技を後輩に伝えている。若手の本上一真さんは「今は邪魔にならないようにするのが精一杯。先輩たちを見て技術を覚え、いつか自分でたいまつを作りたい」と話す。
たいまつの材料を集めるのも、今は簡単ではない。先端部分に使われる肥松(こえまつ)は、樹齢40~80年の松を伐採した後に残った切り株を使う。切り株は10年ほどおき、松ヤニが多く含まれた素材となって、風雨でも火が消えることがない。今は全国的に松の数も減り、調達が非常に困難になっているという。
保存会会長の谷澤貞義さんは「歴史のある祭りに関われることを誇りに思う。色んな人たちと出会い、協力していった中で、大きな達成感を得られるところが魅力」と話す。大たいまつは8月上旬に完成したが、その後も子どもたいまつ作り、がんがらの語源となった鉦(かね)の製作、道に飾る提灯づくりと、作業は続いていく。
たいまつ2000年以降3基だったが、今年は元の2基に戻る。大たいまつは午後7時15分ごろ綾羽を出発して池田駅方面へ向かい、8時半ごろ市役所前に集結。五月山の送り火は午後7時半ごろに点灯する。(礒野健一)
更新日時 2011/08/11