足立衛&アゼリアジャズオーケストラ 池田拠点にジャズ文化発信
池田市民文化会館を拠点に活動するジャズビッグバンド「足立衛&アゼリアジャズオーケストラ」のリーダー・足立衛さん(66)は、ジャズの魅力を「譜面通りに演奏するクラシックとは違い、それを跳ねるように演奏したり、自由にインプロビゼーション(アドリブ)を加えていくところ」と話す。
少年時代からジャズにあこがれていた足立さんだが、まだ専門に習う場もなく、クラシックの素養を身に付けた後に転向した。「当時のジャズは、世界有数のミュージシャンが、タバコの煙がもうもうとする酔っ払いばかりのクラブで演奏するものだった。そういう客を何とか振り向かせたかった」と振り返る。
「あるホテルのロビーで演奏をした時、ひと目で大きな悩みを抱えているとわかる、青白い顔をした男性が目に留まった。演奏しながら気にしていたら、彼がだんだんと元気に、目に力が戻っていくのがわかってね。ステージが終わった後、『ありがとう。おかげさんで元気になりました』と握手され、涙がこぼれるほどうれしかった。ミュージシャンでしか味わえない気持ちだと思う」
趣味でジャズをやる人も増え、プロとアマのセッションなど裾野も広がってきた。それは喜ばしいことと思う一方で、「だからこそ我々プロは、『Sing Sing Sing』をやるにしても、一味違うものを見せなければならない」と語る。
今後はジャズ文化普及のため、小中学校でも鑑賞会も開く予定という。「17人で編成されるビッグバンドは、ジャズの醍醐味(だいごみ)が詰まったぜいたくな音楽。一度生で聴いてほしいな」。(礒野健一)
更新日時 2011/04/14