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豊中市がシェアサイクルの実証実験の結果を公表

豊中市は、市域中南部における東西の移動を補強するためシェアサイクルの実証実験を実施し、結果をまとめた。利用回数は4.5倍に増加した。
 実施エリアは阪急岡町駅以南の市域中南部。期間は2019年11月1日から2022年10月31日までの3年間。今回は2020年10月末までの1年間の状況をまとめた。
 設備はサイクルポート 47箇所、電動自転車 170 台(令和 2年 11 月 2 日増設含む)。利用方法 はスマートフォン等を利用し、ポート位置・空き情報確認、予約、貸出し、返却および決済を行う。どのポートからでも貸出、返却が可能。料金は70 円/15 分、1,000 円/12 時間。実実験主体は豊中市で、運営・OpenStreet 株式会社、プラットフォーム・HELLO CYCLING。

【利用状況】
1.サイクルポート数は、当初の 27 箇所から 47 箇所に、自転車台数は、70 台から 170 台と、サービスは順調に拡大
2.利用回数は、1,123 回/月から 5,032 回/月と 4.5 倍に、利用者数は、390 人から 1,285 人と 3.3倍に増加
3.30 分以内の利用が 72%、市内実験エリア内の移動が 80%と短時間短距離の移動が主
4.ポート別では、①北急緑地公園駅西、②阪急服部天神駅北、③阪急曽根駅高架下等の駅周辺の利用が多く、駅を起終点とする移動が 73%
5.区間別では、①北急緑地公園駅西~服部緑地西口の利用が最も多く、動きからも、北急緑地公園駅、服部緑地及び曽根駅を結ぶ東西動線の移動が多い

【アンケート結果】
○調査は、1,000 人に配信し、299 人から回答、回答率は 29.9%
1.利用者は 20 代から 50 代の働く世代が 9 割以上を占め、男性が 6 割
2.目的は、買物が 48%と多く、通勤 18%、レジャー・観光が 17%と続く
3.利用頻度は、月 3 回以下が 73%で、シェアサイクルの利用により公共交通の利用頻度が減らない人は67%
4.利用し始めた理由は、便利 65%、早い 46%、近くにポートがある 46%、安い 45%の順
5.新たに行くようになった場所は、店舗 46%、公園 20%、駅 14%の順で、利用後行動範囲が広
がった人は 55%
6.鉄道から乗り換えた人の 24%が、3密を避けるためと回答
7.システムや料金には満足しているが、ポート数には、多くの人 50%が不満を持っている
8.困ったことは、返却場所がない 66%、バッテリーが少ない 36%、自転車がない 35%の順
9.ポートがほしい場所は、駅 76%、コンビニ 53%、商業施設 39%、公共施設 34%、公園 23%の順
10.期待する効果としては、公共交通の機能補完 77%、地域の活性化 42%、放置自転車の低減 39%の順
11.ほぼすべての人 99.7%が、今後もシェアサイクルを利用したいと考え、積極的なポート設置63%、北部への拡充 52%、メンテナンスの充実 34%を望んでいる

【中間報告】
□ 評価
1.利用回数は順調に増加し、利用者数、1人当たりの利用回数も増加傾向にあり、引き続き増加が見込まれる。
2.鉄道駅を起点又は終点とする移動は、73%と高く、南北の鉄道路線から東西への移動の補完の役割を果たしている。
3.買物目的が 5 割近く、行動範囲が広がった人が 5 割を超えていることから、地域の活性化につながっていると考えられる。
4.市外利用者は、5.0 倍の 800 回と増加し、都市間連携に繋がっている。
□課題・方向性
1.駅周辺ポートにおいて、満車・空車状態が見受けられ、利用を阻害している。ポートの増設や再配置の検討が必要である。
2.シェアサイクルは、公共交通を補完する移動手段と考えられるが、利用者の 77%がこのことを期待しており、公的位置づけを明確にし、継続的な支援を行うことが望ましい。
3.既存の公共交通に支障をきたすような課題はなく、ほぼすべての人が今後も利用したいと考え、半数以上の人が北部への拡充を要望していることから、北部を含めた市全域へのエリア拡大と本格化に向け検討を進める。
4.利用者は、20 代から 50 代が中心であり、高齢者の利用促進が求められる。

更新日時 2020/12/07