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大阪大学総合学術博物館で特別展「抵抗を縫う――チリのキルトにおける触覚の物語」

バシックさん(写真右)から説明を受ける来場者

 チリの貧しい女性たちが社会への思いを込めて作ったキルト「アルピジェラ」を紹介する展覧会「抵抗を縫う――チリのキルトにおける触覚の物語」が12日、大阪大学総合学術博物館(豊中市待兼山町)で始まった。

 アルピジェラは、縫い合わせた端切れに人形などのオブジェを組み合わせて、日常生活を表現する室内装飾用の刺繍。チリでは1973年にクーデターが起き、軍事政権下で表現の自由が制限され、多くの国民が逮捕・処刑された。そうした中で貧しい女性たちがアルピジェラを通じて日常生活を表現し、人権侵害に抵抗するネットワークを築いてきたという。会場には、1970年代から80年代に実際にチリで作られた作品を中心に、拷問の様子を生々しく描いた「拷問室」や、独裁政権直後に亡命していた家族との再会の様子を表した「亡命者の帰還」など約40点が展示されている。また、チリ出身で、ロンドンやニューヨークなど世界各地でアルピジェラ展を開いている人権活動家、ロベルタ・バシックさん(61)のガイドツアーや講演会なども行われる。

 この展覧会を企画した大阪大学特任教授・酒井朋子さんは「縫い合わされた端切れの一つひとつが人びとの歴史を物語っています。ぜひ多くの人にご来場いただければ」と話していた。

 16日まで。10時半~17時まで(入館は16時半まで)。入場無料。ロベルタ・バシックさんのガイドツアーは、13日14~15時▽16日11~12時。講演会は16日の13時半~16時。問い合わせは、大阪大学総合学術博物館06-6879-4046。=情報提供・豊中市(早川方子)

更新日時 2010/10/12


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