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動く図書館 本を届けて60年

大きなバッグを持参して、たくさん借りていく人も。「本は頻繁に入れ替えられているので、来るたびに新しい本を見つけることができる」と好評の動く図書館=豊中市上野東2の堀田公園で

 豊中市立岡町図書館の「動く図書館」が2010年5月で60周年を迎えた。改造されたトラックに小説、児童書、実用書など3000冊を積み、市内各所を月に1度の割合で巡回。「家の近所で気軽に借りられる」と市民に愛されている。

 動く図書館は、市立図書館から離れた地域の住民のために、全国に先がけて1950年に始まった巡回貸し出しサービス。発足当時はフォードのセダンにスピーカーを取り付け、テネシーワルツなどを流しながら市内を巡回していた。このころの年間貸し出し数は1万冊程度だったという。

 現在では利用者も増え、2009年度の貸し出し人数は8932人、貸し出し冊数も8万1728冊に増えた。18カ所のステーションに加え、保育所や支援学校など市内10カ所の施設も回るなど、今ではすっかり市民に定着している。

 ステーションの1つである堀田公園(上野東2)では、8月の蒸し暑い午後にも関わらず、多くの小学生や主婦、お年寄りらが集まっていた。動く図書館では1人20冊まで借りられるうえに、期間は次の巡回日まで約1カ月あるため、50冊以上を借りる家族連れも珍しくない。

 公園の近くに住む森多朗君(小2)も「きょうは図鑑や絵本などを20冊以上借りる」と真剣な面持ちで書架を探っていた。お母さんの真理子さんも「動く図書館のほかに、岡町図書館や野畑図書館も利用しているほど家族そろって読書好き。不況の今、図書館の存在に助けられている」と笑顔で話していた。(早川方子)

更新日時 2010/08/26


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