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指揮者のいないコンサート「サビーナ・オーケストラ」

練習でも、誰もが曲に対して意見を交わし、完成度を高めていく

 豊中市・蛍池を中心に、地域に音楽文化を育てようと活動するグループがある。「友情のサビーナ・オーケストラ」だ。
 北摂地域に住む音楽家たちがボランティアで集まり、2006年に結成した。蛍池人権まちづくりセンターを会場に、2カ月に1度無料で開催する「まちづくりコンサート」は、演奏だけでなく、作曲家の背景や歴史をスライドで紹介するなど、観客との距離感が近いイベントとして好評だ。
 コンサートの特徴は、指揮者がいないことも挙げられる。メンバーの谷川千尋さんは、「最初は戸惑った。これまでは指揮者の指示に従うだけで、演奏する私たちが意見するなんて考えられなかった」と話す。世話人役の松本城洲夫さんは「演奏者が何も考えず、楽譜通りの演奏をしても、感動は与えられない。これが音楽の正解とは言わないが、1つのあり方だとは思う」と力を込める。
 「友情」とあるのは、松本さんがイタリア旅行で知り合った、若手音楽家との交流が発端だからだ。その縁から、4月29日には兵庫県立文化芸術センターで、世界的に有名な演奏家を招いてコンサートも行う。(礒野健一)

更新日時 2013/04/10


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