池田市立歴史民俗資料館で特別展「廣瀬旭荘と池田・大坂」始まる
池田市立歴史民俗資料館(谷口博昭館長)で、幕末の大坂を中心に諸国を遊歴し、池田で最期を迎えた漢学者・漢詩人である廣瀬旭荘(ひろせ・きょくそう)の没後150年を記念する特別展「広瀬旭荘と池田・大坂」が始まった。12月2日まで。
旭荘は1807年、今の大分県日田市に廣瀬家の五代当主の貞恒の8男として生まれた。中国地方や堺、江戸などで儒学者や緒方洪庵ら蘭学者と交わり、学問や詩文を学んだ。大坂の文壇を代表する1人となったが、持病や幕末の動乱で上方の情勢に不安を覚えたことから、池田に転居。1863年、伊居太神社(池田市綾羽2)ふもとの私邸で最期を迎えた。
今回は、生誕地である日田市や、旭荘の兄で儒学者の廣瀬淡窓が創設した咸宜園教育研究センターなどの協力を得て、旭荘自筆の五言絶句や七言絶句、山水画など掛け軸を多数展示するほか、すずりや落款などの遺愛品、黒船来航に際し、海防論を唱えた随筆「九桂草堂随筆」など126点を期間中一部入れ替えながら展示する。
財団法人廣瀬資料館(日田市)所蔵の「廣瀬旭荘肖像画」(西島青浦画)は、ほとんど遠方へ貸し出したことがなく、関西で見られるのは貴重な機会だという。
同館の学芸員、高野弥和子さんは「旭荘は以前から特別展で取り上げたいと思っていた人物で、明治時代には、大変優れた漢詩人として、中国でも高く評価されました。現代では忘れ去られつつありますが、この特別展を機に多くの人に知ってもらい、再評価されてほしいと思います」と話している。
入館無料。開館時間は午前10時から午後6時。休館日は月・火曜日、祝日。11月11日午後2時から帝塚山学院大学の福島理子准教授を講師に迎え「廣瀬旭荘と篠崎小竹」と題した講演会が開かれる。問い合わせは歴史民俗資料館072-751-3019。=情報提供・池田市(進藤郁美)
更新日時 2012/10/29