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ありがたみ

 前まで私は、お父さんが嫌いだった。
幼稚園の頃から「背筋を伸ばして座りなさい」とか「大阪弁はダメ」とか言われた。
私はそんな事を言われるのが嫌だった。
「何でちゃんとしてんのに言われなあかんの?」とか
「普通に大阪弁でしゃべったらあかんの?」とずっと幼稚園の頃から思っていた。
その不満をいつも私はお母さんにぶつけていた。
誰も相談相手が見つからないから、私はずっとお母さんにあたっていた。
 今年の5月、お母さんが急に元気をなくした。更年期だった。
でも私はそんな事を気にせず、いつも通りお母さんにぶつけていた。
すると、それを見たお父さんは「ぶつけたら、お母さんの病気治らなくなるよ、お母さんをなめたらあかんで」と言った。
 私は忘れていたことを思い出して「私がこんな事をしてたら、お母さんの病気治らへん。私、何か手伝わなあかんな」と思った。
それから私は手伝うようになった。
 前は『親』って思ってなかったかもしれない。
でもこれで『親』って思えた。
『親』というありがたみを知った。
=渋谷中学校 森悠子さん(池田「伝えよう!いのちのつながり」第14回=2011年度=作品から)

池田「伝えよう!いのちのつながり」第14回

更新日時 2012/07/12


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