池田・住吉保育園 地元の素材で食育給食
池田市住吉1、住吉保育園の給食には野菜中心の和食が並ぶ。玄米入りご飯、ヒジキと大根のおやき、エノキとフのみそ汁など、ハンバーグなどの洋食が好きな子どもたちには食べにくいメニューに思えるが、園長の岸本尚子さんは「子どもたちは玄米も雑穀米も大好き。みんなもりもり食べますよ」と話す。
住吉保育園は2005年、公立保育園から民営化された。当時主任だった岸本園長によると「食育に取り組んではいたが、民営化を機にさらに力を入れるようになった」という。食育とは食習慣や食に関する知識を蓄え、体によい食物を選ぶ力を養えるよう教育することだが、住吉保育園は地域の自然や食べ物を園児たちに直に体験させ、食べる楽しさや感謝する気持ちを養っている。
その日に使う食材の一部は、廊下に展示される。丸ごとのニンジンやエノキダケなどを、園児が小さな手で握ったり匂いをかいだりして遊ぶ。給食の米とぎは、園児が2人ずつ当番になって手伝う。こうすると食の細い子でも「きょうは私の(といだ)ご飯だから」と、たくさん食べるようになった。米をとぐ経験を通してご飯に愛着がわくらしい。
保育園から歩いて数分のところに畑を持ち、地元の農民組合から肥料についてのアドバイスをもらいながら、サツマイモなどを植えている。収穫は園児が手伝い、採れた野菜は給食として出す。食べ物がどうやって育つのか、誰が世話をするのかを知るとこで、野菜嫌いも克服しやすいらしい。給食では野菜を使ったメニューからなくなるほどの人気となった。3歳の娘を通わせている烏帽子真理さんは「1日1回は保育園でしっかりと食事をしているから、家での食事に神経質にならずにすむとお母さんたちの間でも評判がいいんですよ」と喜ぶ。岸本園長は「家では甘えてしまっても、保育園でみんな一緒に食事をすると、好き嫌いも言えなくなるかもしれませんね」。
毎月開かれる誕生会では、食に関する話のコーナーを設け、親子が一緒に食卓でのマナーなどを勉強している。岸本園長は「食事は親から子に与えるだけのものではありません。子どもも一緒に食卓にかかわることで、食べることの意味や楽しさを知ることができます」と話している。
(早川方子)
更新日時 2012/06/14