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創業110年 とよす社長「不易流行の理念で経営」

柿の種専門店「かきたねキッチン」や新しい米菓を提案する「十火(JUKKA)」を展開するとよす。これからも新たなチャレンジを続けていきたいと話す内田寿一社長

 1970~80年代、「♪あられはやっぱり、とよす」のテレビCMで一躍有名になった米菓メーカー「とよす株式会社」(本社・池田市住吉1-3-11)は今年、創業110年を迎えた。
 とよすは1902年、豊洲(とよす)卯三郎さんが大阪市・阿波座で創業した。その後、1946年に2代目の豊洲六郎さんが出身地である池田市に戻り、現在の場所に工場を建て、餅生地から仕上げまでの一貫生産を始めた。1957年には大阪市内に直営店を出し、製販一貫体制を築いた。2004年、亀田製菓(本社・新潟市)の傘下に入ったが、主力商品「つぶ豊ろく」は餅米をせいろで蒸し、餅をついて焼き上げる昔ながらの製法で作り続けている。
 現在、社長は亀田製菓の内田寿一さんが務める。内田社長は「地元と一緒になって成り立っている会社だと言っても過言ではない」と話す。内田社長は就任時、「従業員がこの会社を本当に好きだということがうれしい驚きだった」とほほ笑み、「成功は約束されないことだが、成長することは自覚があれば約束される。従業員の思いがあれば、必ず成長できる」と語る。
 住宅街に立地する工場は、稼動時間に制限があり、生産効率が悪い。しかし、「弱点を強味に変える運営をしていく」と内田社長は力強い。そのために企業メッセージを伝える体制を作った。広報部を置き、接客や売り場づくりにも力を入れた。とよすの直売の原点で、量り売りする柿の種専門店「かきたねキッチン」も始めた。
 内田社長は「不易流行」(本質を忘れないが、新しいものも取り入れる)という言葉を好む。「老舗は常にチャレンジしてこそ価値が出る。商品がいいのを前提として、客になびくのではなく、ライフスタイルの変化に合ったものを提供するのがメーカーの使命だ」と締めくくった。

 (進藤郁美)

更新日時 2012/05/10


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