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カンボジアこどもスマイル「自立する支援を」

人形劇団「ねこじゃらし」のワークショップで作った紙コップのウサギを手に笑顔を見せる「だるま愛育園」の子どもたち

 「何かを『してあげる』のではなく、『共に成長できる活動』でありたい」。3月4日、大阪市北区の中央公会堂で行われたカンボジアこどもスマイル(CCS)の活動報告会で、代表の新見香さん(池田市)はそう抱負を語った。

 CCSはカンボジアのアンコールワットの街、シェムリアップにある孤児院「だるま愛育園」の支援をする団体だ。2008年、新見さんは池田青年会議所の活動を通じて、「だるま愛育園」の設立者で、カンボジアで井戸掘り活動を続ける東大寺の僧侶、内田弘慈さんと知り合い、自らも現地に行って子どもたちと触れ合った。2010年、内田さんが病に倒れ今までのような活動ができなくなり、「誰かが引き継がねばならない」と手を挙げた。

 園の運営資金は、内田さんがたくはつで集めるなど、大半を募金や寄付に拠っていた。「自立しなければ継続は無理」と現地で農園も始めていたが、自給自足とはほど遠い。新見さんも園の経済的自立が重要と考え、同時に「支援者もお金を出すだけではつまらない」との思いが、冒頭の言葉につながる。

 「双方向の人的交流を行って、かかわる人の学びの場となることが大切」という。1月末に池田市のアマチュア人形劇団「ねこじゃらし」のメンバーが園を訪問し、公演を行ったのも、そうした思いに共感したからだ。「日本の子どもたちより、素朴で素直な反応が新鮮で、まず何より自分が楽しんだ」と、同行した加納雅子さんは話した。

 CCSは4月15日に、豊中市宮山町1の輸入ワイン店「ヴァイアンドカンパニー」で、子どもたちが作った雑貨を販売する。「今は支援として『買ってもらっている』だけ。商品として評価され、買いたいと思わせるものを作ることで、園が経済的に自立する。まだ販売額は園の運営資金の1割にも満たないが頑張りたい」。新見さんの目は優しく、そして真剣に未来を見据えている。(礒野健一)

カンボジア 内田弘慈

更新日時 2012/03/21


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