桂三枝さんインタビュー 「社会人落語は身近な笑い」
第3回社会人落語日本一決定戦が9月17、18日に池田市で開かれる。落語を次の世代へつなぎたいという上方落語協会会長の桂三枝さんの強い思いで始まり、プロとは一味違った芸風がファンを引き付ける。池田市在住で大会統括を務める三枝さんにインタビューすると、「1回目より2回目は非常にレベルが上がった。社会人落語というひとつのジャンルを確立した」と語った。
「お医者さん、学校の先生、運転手さんなどいろんな職業の方が、それぞれの仕事の経験を生かし、身近に感じるものを笑いにする」のが社会人落語の魅力だと三枝さん。「発表の場が出来たと喜び、大会を楽しみにしている人も多いですよ」
池田市栄本町の市立上方落語資料展示館(落語みゅーじあむ)や大阪市北区にある落語専門の定席・天満天神繁昌亭開館の旗振り役も担ってきた三枝さんは、「お客さんとの距離感をなくしてきたのが大衆芸であり、寄席。寄席は老いも若きも一緒に楽しめる数少ないところ」と話す。「家庭の中に、会話はあっても伝達や報告で、『話』がなくなってきた。もういっぺん話をする、話を聞くことを見つめ直そうという時代の流れに、『じっくり話が聞ける落語があるじゃないか』と、足を運ぶ人が増えているのはうれしいことだ」と手応えを感じている。
また、「きつい言葉や下品なことを言わなくても、生活の中から生まれるほのぼのとした笑いは十分作れると思う。そんな笑いは長続きするし、多くの人に親しまれる。大衆芸とはそういうもの」と、三枝流の笑いの本質に触れた。
池田に住んで40年になるという三枝さん。観光について、池田にはインスタントラーメン発明記念館や小林一三記念館など観光名所はあるが、「観光に即した宿泊や食などの受け入れ態勢が弱い。10万人規模の街にビジネスホテルがないのは珍しい」と残念がる。
また、「池田の猪買い」「池田の牛ほめ」など古典落語の舞台にもなっている池田は、街道を通って、京都方面へ抜ける最初の宿場で、非常に古い歴史があるところ。「昔は色街もあったし、その名残のある家がずらっと並んでいた。ポコポコとした感じで残っているのが残念。昔ながらの町並みがずらっと続いていれば素晴らしいなあ」と話した。
1864年創業のうどんの「吾妻」(西本町)は、チェーン店が多い中で、昔ながらを守っているすごい店だと言い、「残していかないとあきせんね」。
(進藤郁美)
更新日時 2011/08/24